人生を輝かせる山登りのススメ(第41回)

山行気分が味わえる秋のオススメ本(後編)

2018.11.09

クリップについて

 日常から山の大自然へ誘ってくれる本を紹介の後編です。「山の文学」に触れて、登りたくなったらうれしいなと思って選びました。数ある山の本の中から、旅をする気分になれる本をテーマに選んで紹介してきました。しかし、1つのテーマで選んでも、さまざまなジャンルの本があることが分かると思います。それだけ山の魅力は多岐にわたるのです。これらの本を手にとって、山の楽しみを広げていってください。

「槍・穂高」名峰誕生のミステリー

『「槍・穂高」名峰誕生のミステリー』(原山 智・山本 明 著、ヤマケイ文庫・山と溪谷社)

 難しく、堅い話になりがちな山の成り立ちや地質を、分かりやすく解説した本です。例えば、地質学者の原山智氏が「地質探偵」となり、ワトソン役のライター・山本明氏とともに北アルプスの山を歩きながら、どのようにして槍や穂高の名峰ができたかの謎解きをしていきます。山を登りつつ、すぐ隣で専門家に解説してもらっているような面白さで、ドンドン引き込まれます。話は槍・穂高にとどまらず、笠ヶ岳、朝日岳、白馬三山、水晶岳など北アルプスの名峰にも触れられており、この巨大山脈も成り立ちは一様ではないことが興味深いです。

 

空へ 悪夢のエヴェレスト1996年5月10日

『空へ 悪夢のエヴェレスト1996年5月10日』(ジョン・クラカワー 著、海津正彦 訳、ヤマケイ文庫・山と溪谷社)
●電子書籍版あり

 公募登山隊(商業登山隊)の参加者6名がエヴェレストで亡くなるという、1996年に実際に起こった遭難事故のノンフィクション作品です。著者のジョン・クラカワー氏は、当時行われ始めた公募登山をレポートするために、記者としてたまたま隊に加わっていたのですが、当事者として事故に巻き込まれてしまいます。自身の体験に、生存者などの証言を加えて、事故が起こるまでの詳細が語られています。本書の魅力は、私たちが簡単には行くことのできないエヴェレスト登山を疑似体験できることにあります。その上で、この遭難がいくつもの要因が重なって起こっていることが分かり、深く考えさせられるでしょう。

 

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執筆=小林 千穂

執筆=小林 千穂

山岳ライター・編集者。山好きの父の影響で、子どものころに山登りをはじめ、里山歩きから海外遠征まで幅広く登山を楽しむ。山小屋従業員、山岳写真家のアシスタントを経て、現在はフリーのライター・編集者として活動。『山と溪谷』『ワンダーフォーゲル』など登山専門誌に多数寄稿するほか、山番組にも出演。著者に『女子の山登り入門』(学研パブリッシング)などがある。2014年に南米のチンボラソ(6310m)に登頂。

連載記事≪人生を輝かせる山登りのススメ≫

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