企業のネットワーク管理(第4回)

ルーターの運用はアウトソーシングせよ

2018.11.07

クリップについて

 社内のネットワークには、パソコンやサーバー、ビジネスフォン、プリンターなどの情報機器、セキュリティ対策としてのUTMなど多種多様な機器が接続されている。さらにこれらがインターネットにつながり、ビジネスを支えるインフラとなる。

 ただ、この重要なインフラを運用・管理するIT担当者が中小企業にはいない。あるいはIT担当者がいても業務量が多過ぎて、万一のトラブルの際に、迅速な対応が取れない。業務のインフラであるネットワークの運用、管理は中小企業の大きな課題だ。

 こうした社内ネットワークの運用・管理の人的な問題を解決する有力な手段がアウトソーシングサービスの活用だ。専任のIT担当者を配置できなかったり、たとえ配置できても少数で夜間や休日の障害対応が難しかったりする中小企業にとっては、非常に有力な選択肢となる。

 自社のIT人材では対応が困難な、高度な技術とノウハウを持つ外部の専門サービスに運用・管理をアウトソーシングすることで、24時間365日、トラブル発生時に早期の復旧が可能になる。

出入り口であるルーターの管理がポイント

 社内ネットワークを構成する機器の中でも中心になるのがルーターだ。ルーターは社内のネットワークと外部のインターネットの出入り口(ゲートウェイ)に位置し、企業ネットワークの根幹となる機器だ。インターネットを介したメールの送受信、クラウドサービスへのアクセス、Webサーバーによる企業情報の発信、IP電話など、情報の出入り口として欠かせない役割を担う。

 ルーターは、本社と支店、支社、店舗などの拠点間を仮想閉域網で接続するインターネットVPN機能や、不要・不正な通信を制限するファイアウォールなどのセキュリティ機能を搭載するタイプも多い。

 ルーターは、ネットワークの中でも重要な役割を担っているだけに、障害が起きれば、業務上、重大な問題となる。ルーターの安定稼働は、ネットワーク運用のポイントといえる。

中小企業に適したルーター保守サービス

 ビジネス用のルーターには大きく分けて、企業向けと通信事業者向けがある。企業向けでは、大規模ネットワークに適した高性能の製品から、中小規模ネットワーク用の製品まで、さまざまなタイプが国内外のITベンダーから提供されている。

 一般的にルーターの運用・管理や障害対応のサービスを提供しているのはネットワーク技術に精通したネットワークインテグレーターや、インターネット接続サービスを提供する通信事業者などが多い。そうした事業者が提供するサービスを利用するのは、大規模ネットワークを構築している企業や、設定や運用に手間のかかる高性能製品を導入した企業が中心だ。

 中小規模の社内ネットワークを運用する中堅・中小企業にとっては、大規模向けの高額なルーターの運用・管理サービスは必要性に対してコストが見合わず、導入が難しい。しかし、近年、クラウドサービスなどのインターネットを活用したビジネスの拡大に伴い、ネットワークにおけるルーターの重要性が強く認識されるようになってきており、ルーターのレンタルと設置・保守などをセットにした中小企業向けの低価格なサポートサービスも提供され始めた。

遠隔からルーターの設定・障害対応を実施

 例えばケイ・オプティコムでは、法人向けインターネット接続サービスを利用するユーザーに対し、ルーターのレンタルまたは機器買い取りを対象にしたサービス「BUSINESS ルータパック」を提供している。ユーザーのネットワーク構成に基づいたルーターの設定や、機器故障が判明した場合は、保守員が駆け付け保守を行う(オンサイト保守を利用する場合)サービスがある。

 IIJはインターネット接続サービスを利用するユーザーを対象に、ルーターのレンタル、保守運用を行うアウトソーシング型の「マネージドルータサービス」を提供している。ルーターの設定変更やバージョンアップなどの運用作業を代行し、企業の運用負荷を削減する。

 中小企業向けに社内LANのルーター導入から運用、トラブル対応まで一元的にアウトソーシングできるのがNTT西日本の「ルーターおまかせプラン」(※1)だ。

 ルーターおまかせプランの特徴は、クラウドサーバーを利用して遠隔から社内LANに設置されたルーターの設定・監視・障害対応などを実施するところだ。本社だけでなく、支店など複数の拠点に設置されたルーターをクラウド経由で一括管理できる。

 これまでは、ルーターの設定変更、トラブル対応は、保守サービスのスタッフが企業へ足を運んでいた。ところが、遠隔地から設定の確認や変更、トラブル対応が行えるルーターおまかせプランは、従来の運用保守サービスとは一線を画す。ルーターの設置も簡単に行える。NTT西日本があらかじめルーターの設定を行い、企業の拠点に発送するため、企業は届いたルーターを社内LANに接続するだけで利用できる手軽さだ。

 さらにNTT西日本のサポートセンターが24時間365日、故障対応を一元的に受け付ける。オペレーターがルーターの状態を遠隔で確認するほか、把握しているLAN環境や顧客への状況ヒアリングを基にルーターの故障切り分けを行う。企業のLAN環境を把握することにより、トラブル時の原因究明が迅速に行えるという。

 ルーターの設置や交換に必要な設定情報はクラウドサーバーに保存される。ルーターの故障時には保守スタッフが駆け付け、代替機を届ける。そして遠隔からルーターの設定情報を入れて復旧させ、ルーターのトラブルによる業務停滞の影響を最少化する。西日本エリア(※2)に約200の保守拠点があり、ルーターのトラブル時に迅速に対応できるのも、ルーターおまかせプランのセールスポイントだ。

 ルーターおまかせプランには、ルーターの配下で動作するスイッチングハブを提供する「スイッチオプション」があり、ルーターと合わせて一元的にサポートすることが可能だ。

 NTT西日本では、Wi-Fiの無線アクセスポイントを遠隔管理する「スマート光ビジネスWi-Fi」や、セキュリティ管理をサポートする「セキュリティおまかせプラン」、パソコン操作などオフィスの困り事をサポートする「オフィス安心パック」も提供している。ルーターおまかせプランとこれらをセットで契約することにより、ルーターからパソコン端末まで、ネットワークにつながった機器の運用・管理をまるごとアウトソーシングできる。社内にITの専任担当者を持たずとも、“安心”を手に入れられる非常に魅力的な方法だ。

 一般的な中小企業向けのルーターのサポートサービス料金は、ルーター1台について月額数千円程度。その中にはルーターのレンタル料も含まれる。初期費用が必要なサービスもあるが、この程度のコストで、ネットワークの出入り口の保守ができれば、決して高い買い物ではないだろう。

※1 ルーターおまかせプランの契約には、NTT西日本が提供する「フレッツ 光ネクスト」または「フレッツ 光ライト」、もしくは光コラボレーション事業者が提供するFTTHアクセスサービスのいずれかを、少なくとも1契約していることが必要
※2 富山県、岐阜県、静岡県以西の30府県

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

SID : 00024004

執筆=山崎 俊明

執筆=山崎 俊明

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