ゴルフエッセー「耳と耳のあいだ」(第46回)

力相応に徹して、結果的に理想の成果を呼び込む

2019.05.21

クリップについて

 私が主管するゴルフスクールでは、ゴルフ合宿やゴルフツアーを定期的に開催しています。合宿やツアーでは、2日間もしくは3日間連続でラウンドしますが、すべてのラウンドで調子良くプレーできるという人はほとんどいません。参加者の多くは、1日目より2日目、3日目と日を追って調子が悪くなります。その要因は、見るからに「疲れ」によるもの。本人に自覚はなくても、疲労によるパフォーマンスの低下が、調子の悪さにつながっています。さて、こうしたフィジカルの問題で本来の実力が発揮できないときは、どう克服したらいいでしょうか。

疲労がミスショットを誘発する

 ゴルフの調子を下げてしまう多くの原因は、疲労で下肢の踏ん張りが利かず、スイングが不安定になるからです。フィジカルの問題で本来の実力が発揮できなくなることは、通常のレッスンでも起こります。

 ゴルフスクールに通われている現役ビジネスパーソンは、平日の夜か土日のレッスンにお越しになる場合がほとんどですが、平日夜のレッスンと、土日のレッスンとでは、やはり土日の方が動きは軽やかで調子が良さそうです。平日夜にお越しになる方は、日中オフィスで仕事をして、肩や背中がパンパンに張っている状態。準備運動をいつも以上に念入りに行わないと、肩甲骨の可動域が制限されてしまい、ゴルフに必要な体の捻転が十分に行えず、飛距離不足やボールが曲がるといった症状が現れます。

 仕事が立て込んでいて疲れがたまっているときと、十分な休息が取れているときとでは仕事の効率や結果に明らかな差がありますが、それと似たようなことといえるでしょう。疲労は、本人の知らないうちに自身の運動パフォーマンスを低下させ、ゴルフにおいてもミスショットが出やすい状況をつくり出す、厄介な存在なのです。

できると思ってもできない「思考と感覚とのズレ」

 スポーツには「思考と感覚とのズレ」という現象があります。子どもの運動会で転んでしまうお父さんを例に説明しましょう。

 子どもの運動会で派手に転んでしまうお父さんは、学生の頃に運動をされていて、走ることに自信があるというケースが多いです。若い頃に速く走れた人は、「速く走れる」という記憶が残っています。しかし現在は、日ごろの運動不足や中年太りが原因で動きづらく、実は「速く走れない」のです。頭の中では「速く走れる」という記憶があるため、脳は体に速く走るよう命令しますが、体が付いていかないために足がもつれて転んでしまうのです。これが「思考と感覚とのズレ」です。

 このように、速く走ろうという「思考」に対し、実際には速く走れないということを「感覚」として捉えられていない、ということはよくあります。ゴルフスイングも、フィジカルのコンディションが良好で、ベストスイングができるときはよいのですが、そうではないコンディションのときでも、ベストスイングの記憶があるため、そのスイングをしようとします。ところが体はそれを実行できる状態になく、ミスショットを生んでしまうのです。

疲れたときの対処法「力相応ベストスイング」… 続きを読む

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執筆=小森 剛

執筆=小森 剛ゴルフハウス湘南

有限会社ゴルフハウス湘南の代表取締役。「ゴルフと健康との融合」がテーマのゴルフスクールを神奈川県内で8カ所運営する。自らレッスン活動を行う傍ら、執筆や講演活動も行う。大手コンサルティング会社のゴルフ練習場活性化プロジェクトにも参画。著書に『仕事がデキる人はなぜ、ゴルフがうまいのか?』がある。

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