システム構築のための調整力向上講座(第8回)

ステークホルダーを分類して、対処を考える

2016.05.18

クリップについて

 ステークホルダーの利害をマネジメントする方法を解説するパートの第2回は、ステークホルダーの分類と、それぞれへの対処方法です。第7回で特定したステークホルダーにはいろいろな立場の関係者が含まれています。それを一律に同じ対応しても調整はうまくいきません。

 ステークホルダーを特定したら、それらのステークホルダーがどのようなスタンスなのか、どの程度の影響力を持っているのかを分析します。このとき、便利なのが「ステークホルダーのグリッド」です(図1)。

 ステークホルダーのグリッドは、横軸に「プロジェクトへの関心度」、縦軸に「ステークホルダーの権力」を取り、各ステークホルダーがどこに位置するかをマッピングするものです。ここでいう権力とは、単に役職が高いというわけではなく、発言力があったり、業務上の影響力が強い人も含まれます。

 ステークホルダーのグリッドを使って分析することで、それぞれのステークホルダーがプロジェクトにどのように影響を与えるのか、どのステークホルダーの意見や関心を考慮するべきかを検討できます。4つの象限に分けて解説しましょう。

●第1象限:注意深くマネジメントする(権力:高、関心度:高)

 最も「注意深くマネジメントする」必要があるのが、権力が大きく、プロジェクトへの関心が高い人たちです。経営者や業務部門のトップなどがこのエリアに位置することが多いでしょう。そもそもプロジェクトは経営者や業務部門のトップのニーズがあって立ち上がるものですから、関心度が高いのは当然ですし、予算執行やプロジェクト中止・継続の判断の権限を持っているのも、この人たちです。

 この象限にマッピングされるステークホルダーには、プロジェクトの状況が見えずに不安にさせてしまうことがないよう、適切な情報を、適切なタイミングで展開したり、事後報告ではなく、事前に相談をするなど、注意深くマネジメントする必要があります。

●第2象限:満足な状態を保つ(権力:高、関心度:低)

 権力が大きいものの、プロジェクトに大きな関心を持っていない人たちは「満足な状態を保つ」必要があります。このエリアに分類される人たちは、役職が高い、あるいは発言力がある人たちですが、プロジェクトの結果から大きな影響を受けない、もしくは、受けないと思っている人たちです。

 本当に影響がなくて関心がないのであればいいのですが、業務プロセスの変革を伴う場合など、影響があるのに関心を持とうとしないケースもあります。その場合は、関心を持ってもらえるように働きかける必要があります。

●第3象限:監視する(権力:小、関心度:低)

 権力が小さく、関心度も低いステークホルダーには、最小限の対応ですませることで他のステークホルダーに注力します。

●第4象限:常に情報を伝える(権力:低、関心度:高)

 権力は大きくないものの、プロジェクトへの関心が強い人たちは「常に情報を伝える」対象となります。例えば、業務部門の現場メンバーがこのエリアに位置されます。プロジェクトが自分たちの仕事にどんな影響があるのかは、誰しも興味があります。情報が展開されないままだと、いらぬ不安を生み出すことになり、プロジェクトへのマイナスの影響が出てしまう可能性があります。

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執筆=芝本 秀徳

執筆=芝本 秀徳プロセスデザインエージェント代表取締役

プロセスコンサルタント、戦略実行ファシリテーター。品質と納期が絶対の世界に身を置き、ソフトウエアベンダーにおいて大手自動車部品メーカー、大手エレクトロニクスメーカーのソフトウエア開発に携わる。現在は「人と組織の実行品質を高める」 ことを主眼に、PMO構築支援、ベンダーマネジメント支援、戦略構築からプロジェクトのモニタリング、実行までを一貫して支援するファシリテーション型コンサルティングを行う。

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