注目を集める地方発のベンチャー(第24回)

5億円近い資金調達で迷走が始まった

2018.03.12

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八面六臂 松田雅也社長(第2回)

 インターネット経由でさまざまな食材を首都圏の飲食店に販売する八面六臂(東京・中央)。八面六臂はIT(情報技術)を武器に食材の流通に切り込んで効率的な配送を実現。2000~3000品目を個人経営の飲食店に提供して成長した。iPadを無償で供与してそこから受注する仕組みを実現し、顧客が一気に拡大。ベンチャーキャピタルなどもこの成長を評価して、5億円近くの資金調達に成功した。しかし、これが同社にとっては危機の始まりだった(聞き手は、デロイト トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長、斎藤祐馬氏)。

生鮮食品流通の存在意義

八面六臂の松田雅也社長。1980年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業後、銀行などを経て2007年にエナジーエージェント(現・八面六臂)を設立して社長就任。11年4月から現社名に変更し、飲食店向けEC事業「八面六臂」を開始した
(写真:菊池一郎/以下同)

斎藤:八面六臂の仕事は地方の活性化にも貢献しているのですね。

松田:水産品などはサイズが小さかったり、水揚げ量が少なかったりすると規格外の商品として、ただ同然で売られたり、廃棄されたりします。しかし、個人店のオーナーは規格外かどうか、数が十分あるかに関係なく、旬のおいしい魚を求めている人が多くいます。

 実はニーズがある食材が各地にあるのに、個人店のオーナーにその情報が伝わっていなかったケースがたくさんある。我々がその間をつなぐことで、新たな食材を飲食店に届けられるようになりました。ですから、地方経済にも多少の貢献ができていると思います。

斎藤:そこでは、八面六臂の役割は大きいですね。

松田:「食」は、生産者、流通、料理人(飲食店経営者)、消費者によって成り立っています。その中で、漁師や農家などの生産現場と、消費者の需要には極めて大きな変動があります。その中で、生産者が食材の生産に、料理人が調理(店の経営)に安心して集中でき、消費者においしいものを届けられるように需要と供給のバランスを調整するのが我々、流通業者の役割です。

 人の勘だけに頼っていては、その重要な役割を十分に果たすことはできません。当社は生産量、天候、売れ行きなどさまざまなデータを基に需給を予測するシステムとオペレーションを持っており、その組み合わせこそ、他社がまねできない強みだと思っています。… 続きを読む

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斎藤 祐馬

斎藤 祐馬

トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長 1983年愛媛県生まれ。慶應義塾大学を卒業後、2006年にトーマツに入社。2010年にトーマツ ベンチャーサポートを事実上立ち上げた。公認会計士でもある。

※トーマツ ベンチャーサポートは、2017年9月1日より「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」に社名変更しました。

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