IT時事ネタキーワード「これが気になる!」(第34回)

大阪万博開催決定。ITを駆使し並ばない万博

2018.12.13

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 2018年11月23日(日本時間24日)、パリで開催された博覧会国際事務局(BIE)総会において、2025年国際博覧会(万博)の大阪開催が決定した。開催期間は2025年5月3日~11月3日、場所は大阪の夢洲(ゆめしま)。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。1971年の大阪万博以来、55年ぶりとなる。

 この決定に関して、大阪万博の仕掛け人の1人、元大阪府知事の橋下徹氏は、テレビ番組で「万博は行きたいけど、並ぶのが嫌」という出演者の声に、「パビリオンに並ばせない」と語った。さらに、バーチャルで、会場に来てもらわなくても楽しめる旨も発言。ITを駆使した万博を匂わせた。

 過去の万博やこれからのITを踏まえ、コラムニストである筆者が、「ITを駆使した並ばない万博」とはどんなものかを予想したい。

2025大阪万博、期待される経済効果とは

 アジア初かつ日本で最初の国際博覧会だった1970年の前回の大阪万博は、動く歩道やテレビ電話、ワイヤレスホン(携帯電話)、電気自動車などの最先端技術を集めた。来場者は6400万人を超えた。愛知万博の来場者数が2200万人だったことからしても、その人気と経済効果の大きさがうかがえる。

 政府は、25年の万博の経済効果を約1兆9千億円としている。りそな総合研究所によれば、大阪万博の開催による経済波及効果はさらに大きく、全国で2.2兆円と予測される(りそな研究所、プレスリリース『大阪万博の開催による経済波及効果』)。関西地区はもちろんだが、2020年の東京オリンピック後の全国的な景気浮上策としても、期待が大きい。

 さらに今回の万博で注目されるのは、インバウンドの来場動向だ。訪日外国人が大きく増えている昨今、観光地としての関西地区の人気の高さも考えると、今回の来場は全体の10%前後と想定される。関西だけでなく、日本各地への波及も考えられ、その経済効果も大きい。

 なお、会場となる夢洲は、大阪府大阪市此花区にある人工島だ。大阪府の松井一郎知事は、カジノを設置した統合型リゾート(IR)の誘致も進めており、正式に決定すれば2024年に第1期の開業が行われる予定。夢洲は、万博会場とIRとの一体的な開発となる見込みだ。

「並ばない万博」、来訪者がいかに快適に過ごせるかがカギとなる

 筆者、13年前の愛知万博(「愛・地球博」)に足を運んだが、駐車場、入場ゲート、各パビリオン、レストラン、グッズ売り場、トイレなど、とにかく「並んだ」「待った」印象が強い。各会場への移動も大変だった。暑い時期だったのもあり、子どもやお年寄り、体の不自由な人を連れての来場は難しそうだと感じた。実際、子ども連れの友人たちも「大変だった、もうこりごり」と口々に言っていた。

 1970年の大阪万博の動画を見ても、大勢の人が殺到するさまが分かる。「万博=すごい人出で、とにかく並ぶ」、こうした印象が、人々の万博への来訪をちゅうちょさせることにもなりかねない。最終的に来場者数や経済効果を高めるカギはこの点の払拭で、「並ばない」だけでなく、あらゆる点において「快適さ」を提供し、来訪者に「行ってよかった」「また行きたい」と思わせる万博にすることが重要、と思う。

愛知万博のパビリオン前の待ち行列(筆者撮影)。1日にパビリオンを3つ見られたらよいほう、といわれるほどの混みよう。ただし、混雑=人気が高い、ともいえるわけで、知恵や技術を尽くし、来訪者に快適さを提供できるとよい

 幸い、AIやIoTが発展し、個人のほとんどがスマホを持ち歩く昨今、ITを駆使すれば、「快適な万博」も不可能ではないと筆者は思う。

ITやIoT時代の「並ばない万博」を予測してみる… 続きを読む

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執筆=青木 恵美

執筆=青木 恵美

長野県松本市生まれ。独学で始めたDTP(パソコンによる机上出版)がきっかけで、IT関連の執筆を始める。執筆書籍は『Windows手取り足取りトラブル解決』『見直すだけで安くなる、スマホおトク術』など20冊あまり。Web媒体は日経XTECH、日経トレンディネットなど。日経XTECHの「信州ITラプソディ」は、2008年より10年にわたって長期連載した人気コラム(現在でもバックナンバーあり)。日経パソコン、日経PC21、日本経済新聞などに多く執筆。現在は、日経PC21に「青木恵美のIT生活羅針盤」、日経パソコンに「ちょっと気になるITアラカルト」を好評連載中。

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