働き方再考(第8回)

テレビ会議の映像がカクカク。働き方改革を阻害

2019.06.24

クリップについて

 今や企業の最優先項目ともいえる働き方改革。その一環として、テレビ会議の有用性に注目する企業が増えている。なぜなら、出張経費や移動時間を減らせるだけでなく、リモート拠点の社員との情報共有による迅速な意思決定が行えるからだ。テレビ会議をうまく使えば、社員の働き方を変えられる。

 またテレビ会議なら、リモート拠点の社員に向けた研修も行える。本社の開発担当者が新製品をテレビ画面に映し出しながら特徴を説明し、双方向に質疑応答する研修も容易だ。打ち合わせや研修のために、わざわざ本社に集まらなくてもよい。情報さえ共有できれば、残業の削減につながる。

 複数拠点を結ぶテレビ会議を快適に行うには、参加者のストレスにならない高品質な映像と音声がポイントになる。映像がカクカクして途切れたり、音声が聞き取りにくかったりすると肝心の会議に集中できず、時間の無駄になりかねない。売り上げや受発注などの業務データのやり取りでは気にならなかった通信速度の遅さが、映像のリアルタイム通信ではすぐにユーザーの不満につながる。

リアルタイム通信にインターネットVPNは使えるか

 高品質な映像と音声を届けるために、スムーズな映像を可能にする機能や高音質のスピーカー、多地点のテレビ会議が行える制御装置などを搭載した多種多様なシステムが提供されている。しかし、どんな機器を使おうとも、映像や音声の品質に影響を与えるのが通信環境だ。快適な会議を実現できるかどうかは、拠点間を結ぶ通信環境次第といっても過言ではない。ネットワークの遅延はそのまま映像や音声の低下につながる。せっかくテレビ会議を導入して働き方を変えようとしても、通信速度の遅さが働き方改革を阻害しかねない。

 複数拠点を結ぶ企業ネットワークの要件を考えてみよう。「通信コストの抑制」「セキュリティの確保」「通信の信頼性」「リアルタイム通信に対応する高速・広帯域」「拠点の追加・変更への柔軟な対応」などが挙げられる。

 こうした要件を満たすネットワークとして導入が進んでいるのが、VPN(仮想閉域網)。あたかも専用線のように企業ごとに閉じたネットワークを仮想的に構築し、データをやり取りする。

 VPNにはいくつかの方法がある。中継網にインターネットを利用するのがインターネットVPNだ。通信時のデータ暗号化機能などを備えたVPN対応ルーターを各拠点に設置してVPNを構成する。

 働き方改革に有効なテレビ会議は、もちろんインターネットVPNを利用しても行える。しかし、セキュリティの確保や安定した通信環境の観点から、インターネットを経由しないで複数拠点を結ぶネットワークを構築したいという企業は多い。

 そうしたニーズに対応するため、通信事業者のバックボーン上で企業ごとの閉域網を設けるVPNサービスが提供されている。通信事業者やサービスプロバイダーが提供するVPNサービスにはさまざまなタイプがある。低遅延、リーズナブルな料金で利用でき、テレビ会議のリアルタイム通信に適したVPNサービスも登場している。

 テレビ会議に限らず、働き方改革では場所や時間の制約を取り除くIT活用が欠かせない。働き方を再考するとともに、IT活用の基盤となる企業ネットワークを再検討するきっかけとしたい。

SID : 00094008

執筆=山崎 俊明

執筆=山崎 俊明

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