ITで働き方を変える(第8回)

ビジネスフォンを使う中小企業のスマホ内線化法

2020.08.26

クリップについて

 出社している従業員が、外出中やテレワーク中の同僚への取り次ぎで大変な思いをするケースは少なくない。取り次ぎがうまくいかなければ、商品・サービスの販売機会を失ったり、顧客満足度が低下したりする恐れもある。

 テレワークの情報基盤としては、プライバシーや通話料の問題を気にせず、個人のスマホを活用して社内との内線通話や顧客・取引先との外線通話が行える仕組みが必要になる。その手軽な方法として注目されているのが「スマホの内線化」だ。決して新しい仕組みではないが、テレワークの情報基盤として企業の関心を集めている。

 私物(BYOD)、会社支給にかかわらず、従業員の手元にあるスマホを会社の電話の内線端末として利用する。自宅や営業先でも、会社にかかってきた電話を内線として受けたり、会社の電話番号で外線発信したりできる。

 スマホを内線化するには、通信事業者などが提供するクラウドPBXサービスを利用する方法と、ビジネスフォンにアダプターを外付けする方法がある。いずれも、スマホに専用アプリをインストールするなどして、内線電話の発着信や保留転送などの各種機能を実現する。

 まず、企業内にオンプレミスで設置・運用していたPBXやビジネスフォン主装置に換えて、クラウドサービスを活用した内線電話システム「クラウドPBXサービス」。PBXやビジネスフォン主装置などの通信設備は不要になるが、初期費用以外に毎月、利用料金が発生する。例えば、NTT西日本の「ひかりクラウドPBX」では、月額利用料は最小構成の10IDの場合、1万1000円(税込み)。このほか新設工事費などの初期費用や、フレッツ光月額基本料、VoIP-GW月額レンタル料などがかかる。ちなみに社員の増減に応じてID数を柔軟に変更できる。

ビジネスフォンに機器を接続してスマホを内線化

 一方、ビジネスフォン主装置に機器(アダプター)を外付けし、スマホを内線化する製品・サービスも多くの通信機器メーカーや通信事業者が提供する。例えばNECは自社のコミュニケーションサーバーと組み合わせ、スマホを内線端末として利用できる「UNIVERGEどこでも内線サービス」を提供する。また、ナカヨは自社のデジタルビジネスフォンとスマホを組み合わせる「モバイルアシスト」を用意している。

 中小規模の企業向けスマホ内線化の内容を、もう少し具体的に見ていこう。NTT西日本が用意するスマホ内線化ソリューションでは、ビジネスフォン主装置として「αA1」「αN1」「αNXII」を提供、それに「モバイル内線アダプタ MB500」(以下、MB500)を接続することでスマホ内線化を実現する。

 1台のMB500に収容(接続)できるスマホは最大16台、同時通話数は4台まで。MB500の接続台数を増やせば、収容台数、同時通話数は増やせる。フレッツ光やひかり電話などを利用中ならMB500を接続した場合、内線アプリの「AGEphone Cloud」をスマホ(iPhoneおよびAndroidの検証済みの機種・バージョンに限る)にインストールすることで、内線による発着信や保留、転送などの機能を利用できる。

 もちろん、スマホで契約している通信キャリアを問わずに、ビジネスフォンの内線として利用できる。どこにいても会社にかかってきた電話を着信したり、会社の電話番号で取引先へ発信したりすることが可能だ。

 オフィスとスマホとの内線通話には音声をパケット化するVoIPと呼ぶ通信技術を利用する。内線通話ごとにモバイル通信事業者のパケット通信料がかかるが、パケット定額制サービスを利用する方法もある。

 スマホから取引先への電話などの外線通話は、オフィスのビジネスフォン主装置を経由。オフィスのビジネスフォンでひかり電話(IP電話サービス)を利用していれば、ひかり電話の料金で外線発信できる。

【「モバイル内線アダプタ MB500」によるスマートフォン内線化の利用イメージ】

スマホへの保留転送はテレワークに便利な機能

 MB500の内線アプリは、利用者の使い勝手を高める機能を搭載する。QRコードを読み取るだけで簡単に内線アプリの設定が行える。また、内線アプリを起動していない状態でもプッシュ通知で着信でき(着信ポップアップ機能)、着信待ち受けのためのバッテリー消費を減らせる。

 テレワーク時だけでなく、外出先で業務をしている際などに便利なのが通話録音機能だ。周囲の騒音で通話が聞き取りにくいときに録音し、静かな場所で聞き直したり、通話内容のメモが取りにくいときに録音して後から内容を確かめたりする使い方が可能だ。

 電話機能では、オフィスの固定電話からスマホへの保留転送が可能だ。例えば取引先からテレワーク中の営業担当者宛てに、オフィスの固定電話に電話がかかってきた場合、オフィスで電話を受けた取次者が保留操作を行い、内線番号で営業担当者のスマホに転送できる。これによってテレワーク中の営業担当者と取引先とのスムーズな通話を実現する。逆にスマホから取引先に電話をかける場合、会社のビジネスフォン主装置を経由して外線通話する。

 MB500が中小規模の企業に向く理由として、運用コストが低い点が挙げられる。クラウドPBXを導入した場合、毎月利用料金がかかるが、MB500の場合は装置を購入して接続するため費用が低減できる場合がある。ビジネスフォン主装置とセットでリース契約も可能だ。

※掲載している情報は、記事執筆時点のものです

SID : 00127008

執筆=山崎 俊明

執筆=山崎 俊明

あわせて読みたい記事

連載記事≪ITで働き方を変える≫

PAGE TOP

閉じる
会員登録(無料) ここでしか読めないオリジナル記事が満載
閉じる