ケースで学ぶ職場のトラブル防止法(第13回)

募集・採用と内定取り消しをめぐるトラブル事例

2019.06.10

クリップについて

 社員を募集し、採用する。この時点では、まだ正式に雇用契約を締結したわけではありません。そのため、「会社と労働者の間でトラブルなどあるはずがない」と考える人もいるかもしれません。

 しかし、厚生労働省発表の「平成26年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、2014(平成26)年度の「募集・採用」に関する相談件数は2819件(1.0%)、「採用内定取消」に関する相談件数は1639件(0.6%)と、決して少なくありません。

 では、募集・採用時にどのようなトラブルが起こるのでしょうか。また、採用内定取り消し時にはどのようなトラブルが起こり得るのでしょうか。募集・採用時に起こりがちなトラブルと採用内定取り消し時に起こりがちなトラブルについて見ていきましょう。

事例1 募集しているのは男性だけ

A社は営業社員の募集の際に男性を希望していましたが、ハローワークに相談したところ、性別で差別をしてはいけないと言われたので、取りあえずは「男女不問」としました。しかし、女性BがA社に面接を受けたい旨の連絡をしたところ、A社は「女性は募集してない。来ていただいても無駄になる」と回答しました。Bは、女性だという理由で面接を拒否するのは男女雇用機会均等法に触れるのではないかと憤りました。

 男女雇用機会均等法の第5条は、図表1のように規定しています。

 つまり、労働者を募集する際や採用する際に、「女性だから」あるいは「男性だから」という理由で、その機会を与えないことは違法ということになります。

 厚生労働省のホームページには、募集・採用の際の性別を理由とする差別として、その他、次のような例が挙げられています。

(1)募集・採用の対象から男女のいずれかを排除すること
(2)募集・採用の条件を男女で異なるものにすること
(3)採用選考において、能力・資質の有無などを判断する方法や基準について男女で異なる取り扱いをすること
(4)募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること
(5)求人内容の説明など情報の提供について、男女で異なる取り扱いをすること

 また、このような直接的な差別でなくても、実質的に性別を理由とする差別となる恐れがある措置についても、男女雇用機会均等法第7条で禁止されています(図表2参照)。

 性別以外の事由であって、実質的に性別を理由とする差別となる恐れがある措置のことを「間接差別」といい、次の3つが挙げられています。

(1)募集または採用に当たって、労働者の身長・体重・体力を要件とすること
(2)募集もしくは採用、昇進または職種の変更に当たって、住居の移転を伴う配置転換に応じることができることを要件とすること
(3)昇進に当たって、労働者が勤務する事業場と異なる事業場に配置転換された経験があることを要件とすること… 続きを読む

続きを読むにはログインが必要です。
まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

SID : 00133013

連載記事≪ケースで学ぶ職場のトラブル防止法≫

PAGE TOP

閉じる
会員登録(無料) ここでしか読めないオリジナル記事が満載
閉じる