タイトルの“英雄”という表現には、多少違和感を覚える方もいるかもしれない。中野浩一氏は1975年に競輪選手としてデビューし、いきなり18連勝。1980年には日本のプロスポーツ界で初の年間賞金1億円突破を実現するなど、トップ選手として競輪史上に残る活躍をしてきたことは広く知られている。つまり、名選手であったことは間違いない。それをさらに“英雄”と持ち上げるのはなぜなのか。
中野氏には、以下のようなエピソードがある。
●中野氏がフランスでエールフランス機に搭乗する際にはレッドカーペットが敷かれた。 | |
●ヨーロッパで現地の人と話をしていて、相手が中野浩一だと分かった途端、驚きのあまりその人が硬直してしまった。 | |
●テレビ局の解説者として世界的に有名な自転車ロードレースのツール・ド・フランスを取材に行った際、関係者の休憩所に中野氏が入っていくと、そこにいた全員が立ち上がり、敬意を表して中野氏に挨拶をした。 | |
●同じく中野氏がツール・ド・フランスの1997年の優勝者に「僕のことを知ってる?」と聞くと、その選手は「あなたを知らない自転車競技の選手がいるのですか?」と返したという。 |
世界選手権10連覇の偉業を達成… 続きを読む
執筆=藤本 信治(オフィス・グレン)
ライター。
関連のある記事
連載記事≪アスリートに学ぶビジネス成功への軌跡≫
- 第1回 身体能力は高くなかった遠藤保仁が代表になれた秘訣 2018.07.30
- 第2回 五輪連覇の羽生結弦はヘコみながらも挑戦を続ける 2018.08.27
- 第3回 パイオニア、大谷翔平の活躍に見る人材活用術 2018.09.19
- 第4回 競馬界のレジェンド武豊が勝ちを積み上げられる理由 2018.10.24
- 第5回 イチロー。究極のルーティンがもたらす意識改革 2018.11.29
- 第6回 なでしこのエース 澤穂希を生んだサポーターの存在 2018.12.26
- 第7回 相撲と向き合う白鵬の姿に学ぶ異文化理解の大切さ 2019.01.31
- 第8回 東京五輪の華、東洋の魔女たちと鬼の大松監督の絆 2019.02.28
- 第9回 F1の皇帝 ミハエル・シューマッハの組織掌握力 2019.03.28
- 第10回 不死鳥ウッズが教える自己の強みを知る大切さ 2019.04.25
- 第11回 自転車競技の英雄 中野浩一氏の背中を押した使命感 2019.05.30
- 第12回 陸上の新星、サニブラウンが見据えるゴール 2019.06.27
- 第13回 車いすテニス 国枝慎吾、王者陥落後に見せた真価 2019.07.25
- 第14回 やり投げの溝口和洋 幻の世界記録を生んだ挑戦 2019.08.29
- 第15回 伊達公子の復帰に学ぶキャリア採用の心得 2019.09.26
- 第16回 F1中嶋悟、海外レースで体現した美しい日本人らしさ 2019.10.24
- 第17回 前畑秀子。女性初の金メダリストを生んだ孤独な闘い 2019.11.28
- 第18回 ミスター・ラグビー平尾誠二を創った3人の指導者 2019.12.26
- 第19回 江夏豊 球史に刻んだ名投手の「熱血」と「円熟」 2020.01.30
- 第20回 馬術唯一の金メダリスト、バロン西の華麗なる足跡 2020.02.27
- 第21回 今宮純 モータースポーツジャーナリストという矜持 2020.03.26
- 第22回 マラソンで五輪連覇「裸足の哲人」アベベ・ビキラ 2020.04.23
- 第23回 9個の金メダルに輝く陸上のスター カール・ルイス 2020.05.21
- 第24回 女子バレーの名セッター、竹下佳江の新たな挑戦 2020.06.18
- 第25回 サイレンススズカ どこまでも逃げ切る夢のブランド 2020.07.16
- 第26回 球界の不世出のスター・長嶋茂雄の熱いプロ意識 2020.08.20
- 第27回 体操の「白い妖精」ナディア・コマネチのそれから 2020.09.17
- 第28回 インディ500で2度目の優勝!佐藤琢磨の突破力 2020.10.22
- 第29回 北海道日本ハム 栗山英樹監督と「夢の球場」 2020.11.26
- 第30回 オートレーサー森且行が咲かせた美しい大輪の花 2020.12.24
- 第31回 ディエゴ・マラドーナ サッカーの神様に愛された男 2021.01.28
- 第32回 射撃競技の日本人唯一の金メダリスト 蒲池猛夫 2021.02.25